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[アメリカ、アメリカ]

2004年6月25日(金)19:34きとら[Books]

ISBN:4121501268 ISBN:4087734056大統領選を控え、「アメリカとは何か」という問題提起が各方面でなされている今日このごろ、合衆国は「宗教国家」であり、その統治システムが宗教的イデオロギーを基盤としているということは広く知られるようになってきたけれど、そのイデオロギー性を前面に打ち出す戦略をとり、ブッシュ政権のブレーン集団であるいわゆる「ネオコン」って一体何なのよということを捉えなおしたいと思って手にしたのが、中岡望著『アメリカ保守革命』(左)。レーガン大統領が今月亡くなったこともその動機のひとつにあります。レーガン政権に期待し熱心に支えたのが、他でもないネオコン。一様に悲嘆に暮れるアメリカの雰囲気をニュースで見ながら、レーガンの時代が第二次世界大戦後のアメリカ史を画しているのかなぁと感じました。
良くも悪くもジャーナリストらしい文章です。説明なしで「サプライサイド」「マネタリズム」とか書かれてもなぁ(´ω`;)経済用語ワカンナイヨ
ネオコンの系譜、特に初期のネオコンの多くがトロツキストであり民主党員だったとか、思想的エリートであるとかいう指摘は興味深かったです。でも著者も「ネオコン」というものを定義できなかったようで…そもそも鵺みたいなとらえどころのない集団みたい。


もう一冊が、ハンチントン先生の『分断されるアメリカ』(右)。先月出版されたばかりのハードカバー。『文明の衝突』の登場はセンセーショナルで、きとらも熱心に読んだ覚えがあります。
今日パラパラと立ち読みしただけなんだけど、相変わらず人種や宗教や文化っていうグルーピングにこだわってるなぁと感じました。確かに外的な要因による分断も顕著だけど、ハンチントンがほとんど言及していない「経済的な分断」も重要なんじゃないかなと思ってます。
ただ、アメリカ社会が急速に分裂・二極化しつつあるというのは疑いのない事実のようです。ハンチントンの言う「アイデンティティの危機」には、他にもアファーマティブアクション、中絶、同性愛、進化論といったいろんなディバイダーが関与していて、それらが政党間の対立と社会の政治的な分裂に拍車をかけているみたい。新聞で読んだんだけど、アメリカでは支持する政党ごとに(共和党か、民主党か)互いに集まって住むような現象が起きつつあるそうで…ううむ。
構成はとても整然としているので、考えをまとめるためには役に立つかと。

ISBN:4-641-12162-1より「下」で起こっている問題を取りあげた『アメリカ病』って新書も、全体的に扇情的で三面記事的だけれど、なかなかニュースでは取りあげられない側面なので そこそこ興味深かったかも。今をときめくムーアの『アホでマヌケな~』に通じるところがあるかな。

歴史的な視点でアメリカ社会を俯瞰するための本としては、概説書として油井大三郎著『アメリカの歴史』を挙げておきたいです。一般的な通史ではなくて、ジェンダーやエスニシティやポップカルチャーのようないろんなキーワードから切り取っていて読みやすいと思います。歴史が好きな人にもそうでない人にもオススメ☆

さまざまな面で分断されつつあるアメリカ社会の現状は、もしかしたら数十年後の日本の姿なのかも。何だかんだ言ってアメリカはまだまだ懐が深い国で、日本社会の病状のほうがよっぽど深刻で危機的なんじゃないかと思っている今日この頃であります。